政策研究コース・基礎法学サブコース(新設)

政策研究コースの活動内容

活動日時:毎週金曜日 18:30~(予定)
コース幹事:未定
レベル:入門〜
場所:学生会館E706(攻究会部室)

<コース概要>
 政策研究コースが正規コースとして始動するのは今年度が初めてです。2017年度は秋学期から試験的カリキュラムであるサブコースとして活動し、教育制度政策論として「江戸時代後期の各種藩校・寺子屋制度が明治維新以後に西洋から輸入された学校制度の定着にどのような影響を及ぼしたか」、「教育政策の所掌官庁である文部科学省が定めている大学における学事暦・単位の制度に関して同様の政策分野は他国でどのように規定され運用されているのか」を学んだり、経済政策論として「アベノミクスに関連して、メディアなどで話題となる企業の内部留保とは具体的にどのようなおカネなのか」、「日本の農業とりわけコメ農家における生産性問題」などを学んだりしました。
 予定していた活動で諸事情により実施が延期となったものは、東京大学の行政機構研究会との合同政策勉強会や与党閣僚経験者、野党政調会長クラス議員への政策提言があります。これらは新入部員の希望などを加味した上で今年度に実施の予定です。

<コースの進め方>
 本コースでトレーニングしていく項目は大きく分けて以下の4項目です。
  1. 現状の政策実施(または不実施)状況の分析や把握
  2. 発生している問題領域における5W1Hの特定
  3. 他国や他地域における政策の比較・当該問題を政策的に解決すべきか否かの当為判断
  4. 上記3項目を綜合して考察した、為されるべき政策の素案
 各週の活動では、まず参加者全員が報告者として(漠然とでも)興味をもっている政策領域に関して小レポートをまとめ、発表報告します。その場で参加者から生じた質問や疑問点、さらに詰めるべきテーマの洗い出しなどを行い、コースとして扱ういくつかの大テーマを絞ったうえで、その中から各自が取り組む担当分野を設定していきます。 なお、本コースは今年度が初年度であるため、参加者の希望に沿うスタイルで進めていきたいと思っています。文献の提案や勉強会の進め方に対する意見は気軽にもらえれば幸いです。

<使用文献>
個別の政策の実施状況や政府部内での議論については、各省庁の発行する白書やホームページにて公開されている審議会などの議事録を参照しましょう。また、国立国会図書館が発行する『調査と情報-Issue Brief-』や、参議院事務局の調査部署が発行する『立法と調査』などは全体像の把握や比較政策研究に役立ちます。紙幅の都合上、個別具体的な政策分野に関する著作は提示できませんが、活動を通じて適宜紹介していきます。

基礎法学サブコースの活動内容

活動日時:毎週土曜日 18:30~(予定)
コース幹事:未定
レベル:入門〜
場所:学生会館E706(攻究会部室)

<コース概要>
 この春から基礎法学サブコースの幹事をする露口です。この原稿では、今まで基礎法学に全く触れてこなかった人のために、「基礎法学とは一体どのような分野なのか」を紹介したいと思います。
 まず大学に今年から入られる1年生の皆さんや、法学部以外の学部で勉強していらっしゃる方のために、法学というのがどのような学問分野なのかということを簡単に触れておきたいと思います。法学は実定法学と基礎法学とに大別されます。実定法学とは、実際に日本で通用している憲法や民法、刑法といった実定法の文言から、法意をくみとって解釈を生み出す学問です。
 たとえばAという人が交通事故でBという人に怪我を負わせたケースを考えてみましょう。この場合に加害者Aには民事上の責任(不法行為に基づく損害賠償責任)、刑事上の責任(業務上過失致傷罪)、行政上の責任(免許の取り消し・停止処分)が生じます。ここでは民事上の責任について見てみましょう。Aに生じる民事上の責任は、民法709条に定められた「不法行為による損害賠償」についての文言に基づきます。

 民法709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 しかしながら、この文言から直ちにどういうケースにおいて損害賠償責任が生じるか否かが直ちに決まるわけではありません。損害賠償責任が生じるために必要な過失の度合いは法の文言からは明確には分かりません。というのも、自動車を運転している最中に高架が崩落して、下にいる人に怪我を負わせたとします。この際にも運転者に過失が認められると考えるべきとは考えにくいでしょう。このように、過失とは「危険が予見可能だったにも関わらず、その危険を回避する義務を怠ること」と考える解釈がまず成り立ちうるでしょう。これが実定法学の取り組む法解釈ということになります。
 これに対して、基礎法学とは特定の法の文言にとどまらない法の分析を行います。基礎法学には、法哲学・法社会学・法史学・比較法学といった分野が存在し、それぞれ法の目指すべき価値は何であるのか、法が実社会ではどのように運用されているのか、歴史の中での法の変遷はどうであるか、各国間において法はどのような差異があるのか、といったより幅広い視点に基づいて法を分析しています。たとえば、先程の不法行為責任の例に即して基礎法学的な思考法を実践してみましょう。先程見たように条文上は損害が実際に生じた場合にのみ、損害賠償責任が生じるとされています。しかし、比較法学の観点からいえば、英米法においては実際に損害が生じていない場合でも名目的損害賠償という形で損害賠償責任が生じます。私道を無断で通行する、といった損害が生じない形での権利侵害にも損害賠償責任が認められることになるわけです。こうした差異を認識し、分析することで実定法学上の解釈にも役立つ法分析が得られることになります。
 本サブコースでは、特定の法にとらわれることなく、より幅広い視点から法を分析していくことを目的として、法哲学を中心に基礎法学分野に取り組んでいきます。同時に、日常において接する言論を批判的に吟味する能力を養い、その上で実社会で直面する課題に対して高い水準の解答を提示することをも目指しています。そのためには、倫理学や政治哲学、社会学など幅広い隣接分野の知識が役立つこともありうるでしょう。それゆえ、本サブコースには、法というものに興味を持っている法学部生はもちろんのこと、文学部生や政治経済学部生など幅広い参加者を求めています。前提知識は一切必要としていないので、基礎法学に興味・意欲をお持ちの方はぜひ積極的に参加していただきたいと思います。

<コースの進め方>
 基本的にはテーマに沿って、参加者全員が文献を精読し、その中で一人が発表者として文献の要点と文献に対する疑問点や反論とを載せたレジュメを事前に参加者全員に共有します。残りの各人はそのレジュメを参照しつつ、文献やレジュメに対する疑問点や反論をまとめてきます。勉強会当日には、発表者がレジュメを元に文献の読解を進めつつ、各自が読解箇所について抱いた疑問点や反論をその場で提示し、議論を深めていきたいと思います。
 可能ならば、指定文献の参考文献として挙げられている文献ならびに指定文献の読解箇所に関連する文献をも読んでもらうと、議論をより深く進めることができるので、ゆくゆくはその水準を目指しましょう。

<使用文献>
 今年度扱う法哲学については、「メタ倫理学」「法概念論」「法価値論」に大別されます。それぞれの分野について基本的には下に挙げる概説書を読み進めていき、その中で概説書に挙げられている参考文献や原典、論文にも触れていきたいと思います。

・法価値論
・法概念論
 →ともに瀧川裕英ほか(2014),『法哲学』有斐閣
・メタ倫理学
 →佐藤岳詩(2017),『メタ倫理学入門』勁草書房

 なお、本サブコースは今年度が初年度であるため、参加者の希望に沿うスタイルで進めていきたいと思っているので、文献の提案や勉強会の進め方に対する意見は気軽にしてもらえればと思っています。後期は『メタ倫理学入門』から始める予定です。